天使の歌声


窓を開けると夜の冷たい空気が
部屋中に行き渡り
こもった空気と混ざっていく。

この街の何処かにあの人がいる…。

そして今日もギターを弾いているのだろう。


胸の奥がギュッと苦しくなり
天音は外に向かって歌い出した。

「♪~♪…」

聴こえるか聴こえないかわからない
小さな声で歌を歌う。

声を出して息を吸う度に
外の空気が身体の中に染み渡り
気分が少し楽になった。


もうすぐ15分が経つ。
そろそろ石田さんが呼びに来るだろう。

窓を閉めようと手をかけた時、
さっきよりも強い風が部屋の中に入ってきた。

「うわっ!」

風はカーテンをバサバサ揺らし、
部屋の小物を倒していった。