「…いたんだ。」
「何が?」
「天使が。」
「は?」
「天使が歌を歌ってたんだよ!!」
「天使って…
お前とうとう頭までおかしくなったか?」
「本当だよ!!本当に一瞬だけど
背中に羽があるのも見えたんだ。」
「いいから早く荷物を取りに来い!!
じゃなきゃ捨てるぞ!!」
要はそう叫び電話を切った。
「本当なのに…。」
目を瞑ると先程まで
歌っていた彼女が頭に浮かんだ。
彼女の歌声がまだ耳に残っている。
あんな歌声…聴いたのは初めてだ。
彼女の歌……
もっと聴きたい!!
翔太は茂みから出て
坂道を下っていった。
また、彼女と会える事を願いながら…。

