天使の歌声


「えっと……ごめんなさい…。」

相手がいるはずないのに
ペコリと頭を下げてしまった。

「お前はどこまでバカなんだ?
荷物預かっているから家まで取りに来い。」

「本当にごめんなさい!」

「ったく…。で、何で丘まで行ったんだ?」

「あのさ…噂知ってるよね?
天使の歌声の。」

「あぁ、たまに噂されているのは聞くが…。」

「それでさ、俺聴こえたんだ。
天使の歌声が。」

「そうなのか?
俺には聴こえなかったけど…。」

「でも俺には聴こえたんだ。
で、歌声が聴こえる方へ行ったらさ……。」

「行ったら……何だよ?」