天使の歌声


天音の歌声は
風に乗り、空気に優しく溶け込み
街に降っていった。

天音の歌声が聴こえた街の人々は

「『天使の歌声』が聴こえた」

と、騒いでいた。


勿論、天音はそんな風に
騒がれているとも知らずに
心行くまで歌い続けた。

歌い終わる頃にはもう空には
星が輝いていた。


「ふぅ…。」

そろそろ戻らなきゃ…。

天音は木から降り、
家に戻ろうとした。

その時、

ガササッ!!

「誰っ!?」

茂みの向こうから物音が聴こえた。