天使の歌声


「君、名前は?」

「あ、藤崎…「お嬢様ー!!」」

下の名前を言おうとしたら
遠くの方で運転手の声が聞こえた。

「やばっ!!すいませんっ、私帰ります!!」

「えっ、ちょっ…」

私は彼にペコリとお辞儀をして公園から出た。

公園から少し走ると運転手が私に気がついて
安堵の溜め息を漏らした。

「お嬢様~。何処に行っていたのですか?
車の中で待つように申し上げたのに…。」

「ごめんなさい。」

「車の修理も出来ましたので帰りましょう。」

「わかった。」

車に乗り込むと手にある感触を感じた。

「あ…。」

手には彼から貸してもらった
ハンカチが握ってあったのだ。