「よかったー…。後ろ見たら
天音がいなかったから慌てたよ…。」

「ごめんなさい…。
人にぶつかった時見失って…。」

「いや…俺が悪かった。
最初からこうしてれば良かったんだよな。」

そう言うと翔太は私の手を握ってきた。

「これならはぐれないよね?」

「し…翔太っ…!?」

いきなり手を握られて私は声が上擦った。

「あ…もしかして嫌だった?」

翔太が不安そうな声で聞いてきた。

「………嫌じゃ………ないよ…。」

嫌な訳ないじゃん…。

「ん。なら、行こっか。」

翔太は私の手を握ったまま歩き出した。

私は思わず自分の手を握っている
翔太の手を見つめた。

ゴツゴツしているけど指は長くて、
私の手をすっぽり包む程大きくて温かい。

いつもこの手でギターを弾いたり、
楽譜を書いたりしているんだな…。

そんな事を考えていると
胸の奥がギュッとなった。