模擬店がある場所まで来ると
色んな食べ物の匂いがして、
それにつられて集まってくる
人達で一杯だった。

「すごい人混み……。」

「まぁ文化祭だからね。
何か食べたい物ある?」

「うーん…。色々あって迷う…。」

「じゃあたこ焼きとかどう?
ちょうどお昼だし。」

「うん、それでいいよ。」

「たこ焼きは―…
たしかあっちの方だったな。
はぐれないようについてきてね。」

「うん…。」


とは言っても…

お昼時だし、人混みが更にひどくなって
翔太についていくのがやっと…。

ドンッ…!!

「きゃっ!!」

「ごめんなさい!!大丈夫ですか?」

「あっ、はい。大丈夫です。
こちらこそすいません…。」

人にぶつかっちゃった…。

「……あれっ!?」

一瞬目を離した隙に翔太を見失ってしまった。

「翔太っ!?」

慌てて辺りを見渡すけど
人が多くてなかなか翔太を見つけられない。

(どうしよう…。はぐれちゃった…。)

「天音!!」

沢山の人の声がする中、
聞き慣れた声が聞こえた。

「翔太っ!!」

声が聞こえた方へ進むと翔太の姿が見えた。