彼は…

何者なの…?


そんな事を考えていると
急に目の前が暗くなった。

ハッと気づき改めて前を見た。

「っ!?」

いつの間に演奏を止めたのだろう。

ボーッとしていて
彼が近づいてきた事に気がつかなかった。

「大丈夫?」

「………は?」

大丈夫って何が?

彼は何故か不思議そうに、
そして少し心配そうな顔をして
私を見つめていた。

そして制服のズボンのポケットから
ハンカチを取りだし差し出してきた。

「涙…出ているよ?」

「えっ!?」

慌てて自分の目元を擦ると手に水滴がついた。

やっと彼が大丈夫?と言った意味がわかった。