天使の歌声


「お…お姉さん…?」

「聞きなさい。」

お姉さんは私を抱き締めたまま話した。

「いい?感情を無理して押し込むと
自分の心が無くなっていくのよ。」

「え…?」

「あなたはまだ子ども。笑いたい時に笑う、
怒りたい時に怒る、泣きたい時に泣く。
それはとても大事な事よ。」

「でも…お父さんが…。」

お姉さんの手が私の顔を優しく包んだ。

「こんなに泣きそうな顔をして…。
お母さんが亡くなって悲しくて、寂して、
ずっと泣きたかったのでしょう。」

「…………。」

「お父さんの前で泣く事が駄目なら、
私の所で泣きなさい。」

「………いいの?」

「ここなら誰も来ない。
私しかいないから
思いっきり泣きなさい。」

お姉さんに優しく頭を撫でられると
今まで堪えてきた感情が溢れてきて
涙が止めどなく流れ始めた。

「うわああああ…!!」

私の泣き声は花畑に響き渡った。

お姉さんは私の頭を撫で続けた。


これが、私とあの人の出会いだった。