天使の歌声


「なんか暗い話してごめんね。」

「ううん。聞いたのは私だし…。」

「アイス、食べ終わった?
ゴミ捨ててくるよ。」

「あ、ありがとう。」

翔太はゴミを受け取ると
少し遠くにあるゴミ箱へ捨てに行った。


さっきの話を聞いて、
この前の翔太の涙を思い出した。

「やっぱり…気になるな。」

翔太の心の中に
まだ何かあるような気がして…。

「どうしたの?」

「えっ?」

ゴミ捨てに行ってきた翔太が目の前にいた。

「いや…眉間にシワが寄っていたから。」

「あ…何でもないよ。」

「そう?」

翔太はあまり納得していないようだったけど
それ以上は咎めずベンチに座ってギターケース
からギターを取り出して弾き出した。


ギターの音を聴いていると
心が落ち着いてきた。

(なんだか…今日は色んな事があったな…。)


初めてコンビニに入った。

初めてコンビニのアイスを食べた。

初めてアイスの当たり棒を見た。

翔太と要さんの出会いの話を聞けた。


口の中にまだ残っている
アイスの甘さの余韻に浸りながら
私は今日あった出来事を振り替えっていた。