どこにでもある古いアパート。セキュリティもなく、自由に誰でも出入りができ、ポストにはチラシが溢れるように溜まってしまう、そんなボロアパートに引っ越した。


大学を卒業し、ストレートで無事に就職を決めた俺は、安定するまで賃金が安いこの場所を選んだ。


ちゃんと仕事を続けられるかを見極めてからでも遅くない。それに彼女がいるわけでもない。みえをはる人間がいない俺にとっては、この辛気臭い部屋で十分だった。


「しかし、こうしてみると意外と荷物は多いもんだなぁ。ダンボールは、あといくつあるんだよ」