この血に濡れた指先も、爪も足も体全部が敦志のものだったのに、私を裏切っていたのね。


――ズルイ男。


「はぁ……今の私、とっても綺麗」


「……く、狂ってる! あんたどうかしているんじゃなの? 鏡ばかりを見て、私が怖くないの!? 

こんな女だったら、なにもしなくても敦志は帰ってきたかもしれないわね……

ごめんね敦志――さようなら」


――脇役はいつだってほえてばかり。

うるさいわね。消えて……

ああ、なんだか手が痺れているみたい……