暗闇の鎌【読みきり短編集】

 リビングから、首を伸ばしトイレの方をそっと見た。でも立ち上がることはしなかった。


鏡の中の自分を見ながら、もう一杯ワインが飲みたかったからだ。


「美味しい……

そろそろ一本空いちゃいそうだよぉ~。

敦志トイレ長いよー次のワインを開けちゃうよ! 開けてもいいかな? いいともー! ……なんちゃってっ」


グラスを持ち上げながら、鏡を覗き込む。もう片方の手は前髪をいじり、整える。


「真っ直ぐより、ななめの前髪のほうがいいかな……

しかし遅いなぁ敦志。酔っ払いそうだよ――」