暗闇の鎌【読みきり短編集】

 そう。私は二十歳になっていた。


初めて口にしたお酒は、今まで頭に描いていた苦いという味ではなく、甘く後引く、体が軽くなるような風味だった。


そんなほろ酔いの私を、鏡はテーブルの上でそっと映し出していた。


「鏡ばっかり見てさ、俺を見てよ。一緒に住むときは広い部屋に引っ越してもいいよな」


「……そうだね」


「俺、本当に結婚したいって思っているよ。分かってる? 亜貴。小さな鏡じゃなくてさ、大きな鏡を飾れるような広くて大きな戸建てに住もうな!」


「……そうだね」


――ブルルルル……