しかしながら、いない!いない!いない!
「もう、どこ行ったの〜!」
危ない予感まで頭を過る。
いや、ないから、絶対迷子だから。
違う階も探してみるけど、いない。
もしかしたら入れ違いになったのかも!
ここは一旦部屋に戻ってみる?
「一回部屋に戻ろ!優祐!入れ違いになってるかも!」
「そうだね!戻ろ戻ろ〜」
エレベーターのボタンを押そうと思ったけど、来るまでの時間がもったいないから階段でいこ!
今度は私が優祐の手を引いて階段を上る。
上り終わり、その廊下に出る。
もう一回自販機を見るけど、いない。
曲がり角を曲がったその先に紗英はいた。
よ、よかったー!無事だ無事!
急いで行こうとしたけど、本能が察知した。
紗英の向かい側に涼君がいて、なんだか私たちは入れない雰囲気。
「奈友梨?行かないの?」
優祐が不思議そうに見てくるけど、察してください。ぜひ。
てか、察しろ。
ちょうど曲がり角のその角に身を潜める。
で、そこから顔をそっと覗かせた。
「奈友梨、どうしたのー?ねえ〜」
「いいから、そこでじっとしてて」
空気読め。
「はーい」
ん、いい子いい子。
耳を済ませてると、突然紗英の声が聞こえた。


