「はーい?って、あ、奈友梨ぃ!」
部屋のドアを開けて即抱きついてきた優祐だけど、今はそれどころじゃねーんだよ!
「ねぇ、優祐!」
「んー?」
「紗英来てない?」
お願い、いて!
「え、来てないよ?」
そんな!そんなばかなあー!
「優祐、どうしたー?って奈友梨ちゃん」
部屋の奥から涼君が出てきた。
「紗英が飲み物買いに行ってから20分経ってるんだけど戻ってこないの!」
「え、あいつまさか迷子?」
涼君が目を若干丸くして聞いてくる。
「たぶん…」
それを聞いた優祐は
「僕たちも探す!ね、涼」
なんてことを言ってくれる。
「おう」
ありがたい限りですね、これは。
「じゃ、俺こっちの方探しに行くから」
と、左側を指差す。
っていうか、もうそっちに走り出していた。
「じゃあ僕たちはこっちだね!行こ、奈友梨!」
「う、うん!」
行くのはいいけど、そこ、手握るとこなの?
私の左手はしっかりと優祐の右手に握られてる。
けど、今はそんなこと気にしないくらい紗英を探すのに必死だから。
あとは、優祐と手を繋いでいるのはなんだか安心するのもあるんだけど、ちょっとだけ!
だから、離さなくていいと思った。


