その彼女さんは目を見開いて私たちを見ていた。



手を繋いでるだけだけど恋人にみえたのかなー?


てか、……今更になって悪いことしたなとしみじみ感じる。



悪いというか、なんというか。



私にはこういう役向いてないのかな。



改札を抜けて外へと出た。


外へ出た時に、繋いでいた手を離してもらった。



「お疲れ、奈友梨ちゃん」



「お、お疲れ!」



「にしても浮気現場を生でみるのはきついなあ……」



なんて、ふにゃっと笑いながらその場にしゃがみ込む柚季君。



まぁ、そりゃあ参るだろうねえ。



「ほーんと別れたらー?」



ひょうひょうと優祐はそうつぶやく。


続けてまた呟き出す。



「だーって浮気だよ?本当に好きだったらできない行為だよ?」



私も優祐の意見に賛成です。



「で、でもそれでも俺を選んでくれるなら……」


あー、もうこの際言っちゃってもいいかな!?



「だいたいその彼女これから信用できるの!?好きでいられ続けられるの!?ちゃんと気を持ちなよ!だいたい私に彼女役を頼む時点でその彼女と同じことしてんの!」



その言葉に目を大きく見開きなんでと言いたそうな顔をした。



「だってそうでしょう?好きじゃなくたって彼女役を頼んだってことは彼女がふたりいるんだよ!?だいたい振り向いてもらいたかったら努力のみなんだよ!わかる!?」



と、ここで一呼吸。一気に言い過ぎた。


まだ言いたいことはある。



「そんな浮気をする彼女のどこがすきなの?浮気じゃなくて距離を置くとか選択肢はなかったわけ!?」



道行く通行人の視線が痛かったが気にしない気にしない。



てか、見てんじゃねぇよって感じ。