「おっと、悪ぃ。大丈夫か」
不意に襲った衝撃に雪弥が驚いていると、飛び込んできた男が目の前にす、と手を伸ばしてきた。背丈はさして高くないがその手は大きい。
雪弥は差し出された手に自身の手を重ねながら「大丈夫です」、と答えた。きちんと己の非礼を詫びることは好感が持てる。
しかし、人の有無を確認せずに扉を勢いよく開けるのはどうにも頂けない。
「扉を開けるときは、向こう側に人がいるかきちんと確認して下さい」
雪弥はスカートについた砂を払いながら言う。するとを転ばせた男は大きな目をぱちくりと瞬きさせた。
「ああ……すまん」
男はそれだけ短く言い、雪弥の後ろにいる男に駆け寄った。
――それだけ?
雪弥は更に一言を告げようとそちらを向いたがタイミング悪く休み時間の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
だというのに、二人の男は移動をする素振りを見せない。何やら近い距離で話をしているのだが、その顔は真剣そのものだ。

