白瀬と呼ばれた者は顔の布を取らずに、大きく頷いた。
「相手は西の番人に従する者。かなりの呪詛使いのようだ」
白瀬はそれだけ言うと、後は何も言わずに静かに立ち上がった。
「白瀬様。呪詛を跳ね返すことは出来ないのでしょうか」
蒼間が彼の動きを制止するように白瀬の目の前に立つ。白瀬はそれに対し、少し苛立ちを見せたように一度、小さく畳を蹴った。
「出来たから何だって言うんだよ」
白瀬は低い声で不機嫌を露にしながら答える。
「出来るのならば、おやり下さい」
蒼間は布越しに白瀬の瞳を探しているようだが、見付かるはずもない。
「やらないよ」
雪弥は白瀬と蒼間の会話をぼんやりと眺めていた。何を話しているのか、頭に入ってこない。
「何故ですか?」
蒼間が厳しい声を出す。

