『葛姫』
優しく呼ぶ声は何処か寂しそうだった。
『龍様?』
問い掛けると、その主は小さく首を横に振る。龍様ではない。
『どうかされたのですか?』
尋ねると、その相手は微笑んだ。
ーー会いに来ただけです。
雪弥ははっ、と目を覚ました。
「雪弥様?」
その声は夢の中のものと少しばかり似ていて、全身に汗が吹き出す。そして、雪弥の白い肌には無数の鳥肌がたった。
「雪弥様、どうかされましたか?」
自分を呼ぶのは緋川だった。
「……いえ、何でもありません」
雪弥は背中の痛みがないことを確認して起き上がった。
「呪詛を送られていたみたいだ」
部屋の隅から小さく聞こえる声。その顔には白い布を被せていて表情は判らない。
「白瀬様」
浅黄がそれに驚いたように声を出す。

