「昔から我等鬼は人間から迫害を受けてきました。悪魔だ、禍(わざわい)を呼ぶだと、根拠のない理由で。そして、暫くは大人しかった彼等が動き出したのです」
部屋の中にはいつの間にか陽もいた。銀の少し後ろで緋川の話を聞いている。
「ちょっと待てよ。人間があんな攻撃を出来るものなのか?」
昨日の羽鴉。そして、今朝方、銀が加勢することを放棄した一件。とてもではないが、人間が出来ることには思えなかった。
「……貴方は本当に頭が悪いようですね。今まで、頭を使わずに生きてきたのですか?」
癪に触るどころの話ではない言い方だったが、今はそれに歯向かっている場合ではない。銀は文句を言いたいのをぐっと堪えた。
「貴方も人間ではないですか。けれど、凡人が持っていないものを持っている」
緋川の切れ長の瞳が銀を確りと捉えた。逃れることを赦さない視線に、銀は漸く思い至った。
「……番人」
そう。番人の一人であるならば、普通の人間にはない特殊な力を有していても何ら不思議はない。

