「人間は酷く野蛮で愚かです。そして、そんな者に頼らなくては雪弥様をお助けすることも出来ない我等も」
緋川は着物の袖で口許を隠しながら銀に目を向けてきた。口許を隠しているせいで、その表情はよく判らない。
「……一個、聞いてもいいか?」
銀が小さく口を開くと、緋川は眉をぴくりと動かして、何です、と返してきた。
「裏切り者の末裔もいるのに、番人を集めて大丈夫なのか?」
四人の中にいる一人の裏切り者。幾ら先祖の行いといえ、鬼共がそれを赦すようには思えなかった。
「此度、雪弥様に度重なる襲撃を仕掛けてきているのは人間です」
緋川の言葉に銀は絶句した。それを見た緋川が、やれやれ、というように首を横に振る。
「一体何だと思っていたのです。まさか、鬼同士の抗争だとでも思っていたのですか?」
それの答えを銀は持ち合わせていなかった。拒否することばかり考え、雪弥にどんな命の危険が迫っているのかも知ろうとはしていなかったのだ。

