「緋川や蒼間は私が説得します。貴方は現世に帰りなさい」
「現世?」
「人の世のことです。現の世。私達が住むのは鬼の世。つまり常世の入り口です」
そう、鬼と人ではそもそも住む世界が違う。同じ地に留まっているように思えても此処には違う空気が流れているのだ。
ーー決して共存など出来ない。
ーーしていいものでもないのかもしれない。
「望んでいるわけでもないのに、此処にいる必要はありません」
雪弥は銀の顔を真っ直ぐに見て告げた。
「……お前は死んでもいいのかよ」
銀が静かな声で問う。
いいも何もない。死んではいけない。それだけだ。でも、彼が役目を果たすつもりがないというのなら、強制することは避けたいと思った。
「緋川達が何とかするでしょう」
「お前は死にたくないとか思わないのかよ」
ーー死にたくない。
考えたこともなかった。

