「鬼神姫様。これからは俺が貴女を護ってみせます。十七歳の誕生日が過ぎるその日まで」
遠い記憶。
ーーならば、護りましょう。刻が続く限り、貴女だけを。
「花邑景(きょう)……」
雪弥は己の口から出た名前に驚いた。目の前にいる男の名は「陽」だ。そして脳裏に浮かぶ凛々しい顔立ち。
それは目の前にいる男のものではない。
「……約束は必ず果たしてもらいますよ」
緋川は横目で陽を見やり言った。それから眉をひそめ、辺りを見回す。
「もう一人はどうしました? 姫の危機に姿をあらわさないなど、番犬にも劣る」
緋川の吐いた台詞に陽が顔を歪ませるのが判った。雪弥はそれを遮るように、食事にしましょう、と小さく告げた。

