鬼神姫(仮)




銀を無理矢理に近いように連れてきた。ひとりで成し遂げる自信などなかったから。

ーー俺は最低な人間だ。

一人の為に自分と銀、そして残りの番人をも犠牲にしようとしている。それでも生きていて欲しい。

誰に最低な人間だと罵られようと、誰に恨まれようと、死なせたく人がいる。

本当は躊躇った。

銀までも巻き込んでいいものか、と。

それでもあの腕に浮かんだ紋様を見たとき、悩んでいる暇なんてないと悟った。自分が一番に考えることはそれしかないのだと。

だから、泣き叫んで伸ばされた腕を振り払った。二度と会えないかもしれないと解っていながら、抱き締めてやることもしなかった。

ーー俺は俺の為に選択をしたんだ。

そう言い聞かせても拳を開いた手は微かに震えていた。