顔立ちも綺麗というどころではない。くっきりとした二重瞼に、その瞳は綺麗な赤色。鼻筋の通った高い鼻。唇も薄めであるが、歪さは一切ない。
「……綺麗だな」
銀は無意識にその言葉を呟いた。見惚れる、というのはこういうことなのかもしれない。とはいえ、相手は男なので、それは本当に自然に口から出た言葉だった。
「知羽(ちわ)」
すると男は小さな声で言った。
「え?」
銀は彼が何を言ったのか解らずに、そう声を上げた。
「知羽だよ、知羽。俺の名前だ」
男は少し怒ったような口調で言い、顔を背けた。先程まで人間に名乗る名前などないと言っていたのに、どういった風の吹き回しだろう。
「ああ……。俺は……」
「霧原銀、だろ。知ってる」
相手が名乗ったのだから自分も、と思った矢先に言葉を遮られた。そして、此処にいる者なら自分のことを知っていて当たり前なことに気付く。

