そこで初めて陽の抱えてきたものを聞いた。知った。だからといって、その運命の渦に自分の身を投じる覚悟など出来やしなかった。
陽も自分の願いの為に力を貸してくれとは言わなかった。ただ一言だけ、一緒に来てくれ、とだけ言った。その声はあまりにも小さくて弱くて、泣き出しそうなもので、初めて陽の弱さに触れた瞬間だった。
陽の頼みを断ることは憚れた。それだけではない。もう「そこ」に銀の居場所はなかった。
ついていくことは決めたが、それは番人を引き受けるということではないつもりでいた。ただ、今は陽の傍にいたいと思った。
いてやらなくてはと思った。
兄のように優しくしてくれ、一番辛いときに頭を撫でてくれた人の傍に。
それでも葛藤し続けた。
自分が巻き込まれることを望まないのは勿論、陽が巻き込まれることも望まなかった。
何故、誰かの為に命を賭さなければならないのか。

