「その願いは直ぐに叶えられますよ」
門の向こうから静かな声が聞こえた。
銀はそれにぴくりと眉を動かす。
「お迎えにあがりました。霧原様、花邑様」
からり、とやけに静かに門が開けられた。しかし、門の向こう側に立つ者がそれに触れている様子はない。
門の向こうにいるのはその声と同様に静かな目をした男だった。年の頃は二十代前半程だろうか。
静かな目に、白い肌。髪は黒いにも関わらず、何処か青みがかかっている。
そして、やけに美しい。
中性的というわけではなく、はっきりと男だと判るのだが、美しいのだ。
「私は蒼間」
男はす、と視線を下げてそう名乗った。
「姫がお待ちです。此方へ」
蒼間は丁寧な所作で銀と陽を中へ入るようにと促した。
門の中で広がる庭には何もなかった。木も花も、池もない。あるのはただ、砂利のみ。

