「おお……」
目の前に広がる屋敷を目にした陽が何とも言えない声を漏らした。
「陽さん。頭悪そうなんでやめてもらえませんかね?」
それを耳にした銀がやれやれ、といったふうな声を出す。とはいえ、陽の反応も頷けるというもの。
本来は足を運ぶつもりなどなかった。なのに、授業が終わるなり陽に引き摺られるようにして此処に連れてこられたのだ。陽は小柄なわりにかなりの力を有している。
「だって、お前だって俺が住んでた家、知ってるだろっ?」
陽の言葉に銀ははい、と頷いた。
「あの、あばら家ですね」
「あばら家言うなっ」
知ってるか、と問われたから素直に答えたまでなのに。銀は深い溜め息を吐いた。
しかし、陽が暮らしていたあばら家はさておき、普通のいえで育ったとしても目の前に広がる光景には息を飲むだろう。

