鬼神姫(仮)




「もう一つお伺いしますね。貴方は番人などやるつもはない、と言いました。それなら何故、羽鴉から私を護ったのですか?」

番人――即ち鬼神姫を護る人間の呼び名。それは幼い頃から聞かされていたことだ。

番人が集いし刻、運命は廻る。

「護ったのはお前じゃない。自分だ」

「どういうことです?」

雪弥は銀が謂わんとしていることが解らずに首を傾げた。

「馬鹿っ、銀、ストップ」

その後ろで立ち上がった陽が叫ぶ。

「羽鴉はお前じゃなくて、俺らを襲ってきたんだよ。俺らの能力の小手調べってとこだろう」

それなら、先程の「助けましたよ」という陽の言葉は――。

雪弥はくるりと銀から陽へと視線を変えた。その先では陽がしまった、というような顔をしている。

――何故そんな嘘を?

そう尋ねようとした瞬間、扉が開いた。古い鉄の扉は軋むような音を立てて開く。