陽は少しだけ長めの髪が乱れているのを整えてから、また跪いた。
「後程、屋敷の方で正式な挨拶を、と思っていたので、先程は無礼な態度を取ってしまいました。なので、ここでそれをお詫び致します」
どうやら陽の方は番人としてよく出来ているようだ。雪弥は陽の詫びを聞いて、ふとあることに思い至った。
「ああ、ですから、先程貴方も私のことを知らないと言ったのですね?」
銀に問い掛けると、彼は、は? と眉をひそめた。
「いや、本当に知らなかっただけだよ。俺は番人なんてやるつもりないしな」
銀は雪弥の顔も見ずにそれだけ言った。
「お前こそ、俺のこと番人て知らなかったんだろ? だったらなんで、自分を知らないことを不思議だと思うんだ?」
陽の礼儀正しい言葉遣いを聞いた後だと、彼の口調は乱暴なものに聞こえる。雪弥はそれを注意したいのを我慢して口を開いた。
「私は生まれながらにしての姫と呼び声高い程の美貌です。なので、鬼神姫ということも関係なく我が校では有名なのです」
雪弥の発言に銀は顔を動かしてから何とも言えぬ表情を作った。

