鬼神姫(仮)



ずっと、聞かされてきた。

番人は鬼神姫を護るだけの存在だと。

でも、違う。

嘗ての彼らは、鬼神姫が番人に協力したのだ。彼らの頼みを聞いた。だからといって、今度は彼らに協力しろ、というのはまた別だ。

嘗ての彼らと、今の自分達は違うのだから。

なら、自分達なりの関係を築いていきたい。

これは傲りかもしれないし、彼ら番人にはそんなつもりは毛頭ないかもしれない。

それでも、雪弥は新しい何かを築いていきたいと思った。

そして、その為には全てを知らなくてはならない。自分は何も知らないのだから。

緋川達は雪弥には何も教えてくれなかった。

大昔に彼らが交わした契りの理由も。その内容も。

そして、一体彼らに何があったのかも。

言われてきたのは、自分が鬼の一族にとって如何に大切な存在なのかと、番人は鬼神姫を護る為に存在しているのだということだけ。

ならば、知るしかない。

雪弥は意を決して立ち上がった。

向かう先は一ヶ所しかないのだから。