先程まであんなに晴れていたというのにこんな霧が発生することがあるのだろうか。雪弥がそんなことを不思議に思っていた矢先、鳥の羽音はもう傍まできていた。
――不味い。
次の瞬間、何かが地面にめり込んだのではないかという音が辺りに響く。兎も角、強烈な音だ。
「破っ」
それと同時に低い声も響く。それは、紛れもなく茶髪の男のもの。
どういうこと、と考えを巡らせると同時に視界が明けてきた。雪弥は霧が晴れると直ぐに屋上を見渡した。
すると、足元には灰色の鳥が落ちていた。それは予想通り鴉程の大きさがあったが、鴉でないことは一目瞭然。
色だけではない。嘴が有り得ない程に尖り、それはまるで刀のようだ。
――これは、人の世界の生き物ではない。
雪弥はその鳥紛いを見下ろしながら確信した。そしてその確信を裏付けるようにその鳥紛いは灰となって姿を消した。

