鬼神姫(仮)



「護るって決めたんだから、て辺りからだな」

陽はうんうん、と一人で頷きながら言う。

「それ、殆ど最初からじゃないっすか」

それに対して銀が大声を上げる。すると陽は気付かないお前が悪い、と銀の頭を思い切り叩いた。銀は頭を揺らしながらも、何が恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めている。

──何も恥ずかしいことなど言っていないと思うのだけど。

そんな二人の様子を見ながら雪弥はそう思った。ここで今しがたまで繰り広げられていた会話は銀の決意のみだ。それの何処が恥ずかしいというのだろう。寧ろ、勇ましい限りではないか。

「ということで、俺はその意見に賛成だ」

陽はどかりと銀の横に胡座を掻きながら言う。高めの声はよく響く。

「なんすか、その言い方。俺が反対みたいじゃないすか」

銀が叩かれた後頭部を擦りながら言った。仲の良い、まるで兄弟のような二人だ。その光景を雪弥は羨ましく思った。自分にはそんなような者はいない。

「答えなかったってことは反対なんじゃないのかよ」

陽は訳が解らない、といったふうに眉間に皺を寄せた。それと同時に大きな目が少しだけ細められた。陽の方が銀より体はかなり小さいがそこにある上下関係ははっきりと見てとれた。