不器用な彼と、嘘つきな私。




「葵ちゃんかわいそうね」
「あんな父親と母親で」
「葵ちゃんは犠牲になったのよ」

上から声、いや、雑音が聞こえる。

これは小学生の時。
私は親戚や近所の人にそんなことを言われる毎日。くだらない世間話が好きなおばさん達。見栄と世間体が大切な親戚。そして私の事を無かったことにしようとする両親。そんな大人達を見て学んだ事は、大人は汚いということだった。

ああ、うるさいうるさいうるさい。
この人達ははなんでお母さんとお父さんを悪く言うの。私から見れば、この人達の方が悪者なのに。

そんな言葉を隠して、私は笑う。

「ごめんなさい、わたしが悪いの」
「お母さんとお父さんを悪く言わないで」
「迷惑かけて心配かけてごめんなさい」