「こころぉ」


息を切らせた雅が私の手をしっかり掴みそう言った。


耳に響く雅の声。

大好きだった・・・



その時ケイタイもとまった・・・



「こころ、今のって・・どうして?おれ何度もかけたけど・・どうして?」

「何が?」

「何がって、おまえ



「何よ。今更。なんだって言うのよ。そーよ持ったわよ。持ってたわよ。
ずっと!何なのよ今更っ!!!」


気付いたら泣いていた私。



「でも・・」
雅が何を言いたいのかは解っていた。





「当たり前でしょ。アンタしか知らないこのケイタイ電源入れとくわけないじゃん。かかってもこないのに・・」



「じゃあ今



「もう返そうと思って昨日手続きに行こうと思ったけど忙しくて行けなくて」



「や、そうじゃなくて、オレしか知らない番号のケイタイがどうして鳴るんだよ。」





私もそれは不思議だった。

電源はさっき入れた。





でも今はこう答えるしか無かった。






「谷原だよ」





「・・・」