その日は谷原と一週間ぶりに会う約束をしていた。

しかし急な仕事が入って明日の休みを返上で現場へ行くことになったと、連絡が入り、
今夜は急に暇になり、久しぶりに部屋のレイアウトを変えようと、悪戦苦闘していると、チャイムが鳴った。


「明日中止になったから来たよ」
と谷原がひょっこり現れた。

「珍しいことやってるジャン。模様替えなんて。」
からかうように谷原が言った。


そうなんだ。
雅と別れてから思い出に埋もれたまま生活していた。



「う~ん何となく急に暇になったからさ」

「そっか手伝おうか?」

「イイや。もうやめる。面倒になった。ビデオ観ようよ。」



谷原は笑いながら頷いていた。
谷原には全てを見透かされていた。




何一つ変わってないこの部屋の意味を・・・



そんな谷原とのこの関係が今の私には一番楽だった。