それから、お父さんと先生と看護師さんと

お母さんのいる霊安室へと向かった。

そこには、顔に白い布をかぶせられている

お母さんの姿があった。

「お母さん・・・」

お父さんは、泣いた。枯れるほど泣いたのに

まだ、お父さんの瞳から流れる涙はとまらない。

私の瞳からも、再び涙が溢れてきた。

「お母さん・・!」

お母さんのもとへ、走った。

すごく短い距離なのに、とても遠くに感じた。

それは、今の私とお母さんのことを表してるかのように。

そして、私はお母さんの手を握った。

冷たい――。

握り返してくれない。

もう二度と――。

優しい笑顔でいつも「おかえり」と言ってくれた

お母さんは、もういない――。


そして、もう二度とこの手を握り返してはくれない――。


けど、それでも私は、お母さんが握り返してくれるのを


ずっと待っていた――。