澪は、心と体に傷がつき、輝矢は体に傷がついた。

夜叉は、輝矢のベッドの前で、眠っていた。
必死になって職員室へと走ったのと、輝矢のことでいっぱいになってしまったのだろう。
私は、見てるだけ――。

「青海ちゃん」

先生が、私の名前を呼んだ。

「なにもできなくても、いいんじゃないかな?」
「だって、まだ青海ちゃんは5年生だし、それなりに頑張ってくれたと思うよ」
「夜叉君や輝矢君、もちろん澪ちゃんだって、青海ちゃんに感謝してると思う」

先生の言葉が、痛いほど胸にしみる。
私は、先生に泣いて抱きついた。
澪は、さっきまで泣いてたのに、笑顔で私のほうを見ている。

「青海ちゃん、ありがとう」

私は、もっと涙が溢れてきた。もう止まらないんじゃないかなってほどに。