君の体温

「でも、学校じゃないんだよな」

「どういうこと？」

私は問いかけた。

「澪のうちって、篠井公園の近くにあんじゃん？」

篠井公園。よく、私の通っている

学校の人たちが集まって遊ぶ場所。

そこの公園の近くに、澪の家があるんだ。

「うん」

「それがなしたん？」

今度は、夜叉が問いかけた。

「黒坊主が、澪のうちの前で叫んでたんだ」

「はぁ？！」

「なにそれ」

「なんて言ってたの？」

私は、恐る恐る聞いてみた。

「澪！！澪！！俺のところに戻って来い！」

「って、言ってたんだ」

「なんだよそれ？」

戻って来いって・・・。

「あ・・」

「「なした？！」」

「澪って、前、親が離婚したんじゃなかったっけ？」

「あぁ。言ってたな。」

「それがどうしたの？」

私は、気づいてしまった。

そう。澪の親は、離婚したことを。

そして、離婚する前の、名字は





小笠原　澪――。





「確か、小笠原　澪――。」

この言葉を言ったとき、また沈黙が漂った。