君の体温

顔近いよ・・・。輝矢。

って、こんなときに何考えてんだ、私。

少し自分を落ち着けさせてから

次のことを話した。

「ねぇ。なんで、澪殴られてるの?」

「それは、俺も知らない。」

なんで?澪は、なにも悪いことしてないんじゃないの?

それなのに、なんで先生は澪を殴ったり

怒鳴ったりするの?

たとえ、何かあったとしても、これはひどすぎる。

私は、怒りがこみ上げてきた。

「私、許せない。」

そういって、私が立ち上がろうとしたとき

「バカ!今、お前や俺が行ってもだめだ」

「だって、だって澪が・・!」

私はそのとき、たぶん涙を流していたと思う。

怖くて、悔しくて。

「分かってる!分かってるんだ!」

「でもな、夜叉が先生を連れてくるまで
 は待つしかないんだよ!」

「・・・・。」

私は、情けなかった。輝矢だって、自分が

なにもできないことを分かってるのに。

なにもできなくて、悔しいって思ってるのに。

「ちくしょー・・・。」

輝矢は泣いていた。

だから、私は輝矢をそっと抱きしめた。

輝矢は、ちょっと驚いていたけど

そのまま泣いていた。