「俺に彼女いると思ってた?」



「うん。」




なんだ……いないんだ。



瀬越に気付かれないように、ほっと安堵の息を漏らす。




「莉乃は?」



「え?」



「だから、莉乃こそ彼氏いないのかよ?」




今だに繋いでいる手を意識してしまう。



気付いたら、一緒に並んで歩いている。



そんなことに嬉しさと違和感を感じた。





「いないよ。」



「そっか。」




高校3年のクリスマス。



彼氏と一緒にデートしたわけじゃないけど。




好きな人と一緒に帰った。



こういう幸せもありだよね?