突然俺はほのかに腕を掴まれ引かれて、振り向いたが、

時はすでに遅く、立て直すこともできないままバランスを崩す。

そのままの体勢で勢いよくソファーに向かって倒れ始め、

ほのかとの距離が段々と詰められていく。


俺はほのかの上にのしかかりながら、その光景をコマ送りしているかのように

スローモーションで見る。


まるで映画のワンシーンのような感覚で…

それは甘いシチュエーションのはずだった。


俺はほのかの体の上に到達する直前、胸がぎゅっと締め付けられ、

激しく心臓が鼓動を打ち始めた。

俺に組み敷かれたほのかの肢体は想像していた以上に柔らかく、その悩ましい曲線が

直接身体から感じ取れる。

身体に一瞬の快感が走るのと同時に、心の中にはどす黒い醜い感情が一気に流れ込み、

俺は眉を寄せる。それは快感と嫌悪感が混じったようになって…

思わず吐き気をもよおす。

彼女の身体に触れるなら、こんな時でなく、こんなふうではなく、もっと…

そんな望みは、目の前で崩れ去る。

渦巻く感情の中、その遠くで「おいで…」という低い男の声が聞こえくると、

その瞬間俺の下に組み敷かれていた、柔らかい姿態のほのかが小刻みに震え始める。