そうやって数年を過ごすうちに、俺はほのかに毎年花を贈るようになった。

その季節は、桜が散る辛く苦しい別れの季節ではなく、

ほのかがこの世に生を受けた喜びの季節だということを忘れて欲しくなかったから。

そして、それは俺にとって彼女と出会うチャンスを与えられた瞬間なのだから…

この悦びの気持ちを…

彼女に形にして伝えたかった。


いつか、いつか、ほのかの気持ちも変わる。

いつか、こうやってそばにいて抱きしめて見守っていれば、ほのかが身も心も

この胸の中に…

身も心も手に入ったその時が、俺の全ての想いを遂げるときになる…

がらでもなかった。あれだけ勝手で奔放だった俺が、ほのかに対してだけは…

まっさらな心と身体かのように向き合っていたのだから…

その想いだけが、俺を支えていた。俺の衝動を抑えていた。


でもほのかは、彼女はたった一度の辛い別れの記憶をいつまでも、いつまでも

忘れることができないまま…

引きずっていた。


世の中は俺の思うようには回らなかった。

いつまでたっても、退場したはずの男ばかりを追いかけ追い求め、

俺の番はもう来ないのかと思う程長い時間が流れた…