ほのかと…

彼女と会うときには、いつも眞人の陰が彼女を包んでいた。

最初の頃は月に1度月末の週末は、奴の手掛かりを探して彷徨う彼女に…

俺はただ付き合った。


数年は眞人の地元に行ったり、こちらの大学の周辺や交友関係を

当たったり、それなりにやることはあったが、年数が経過するに従って、

多くの人間に会うのに全く手がかりがない残酷な事実に、

次第に彼女は擦り切れて行った。


俺の中では、もう諦めろと言ってもおそらく聞かないほのかを

ただ見守るしかなかった。

彼女は頑固だ。自分で決めたことは何があっても突き通そうとする。

その意志の強さは彼女が俺を惹きつける理由の一つでしかないが…

反面、思い込んだら融通が利かないのが彼女の難点でもあった。



年々徐々に弱っていく彼女を見守りながら、もっとほかにすることが、

できることがあるのではないかと、俺の苦悩も深くなった。


それでも、ほのかは…

世に言う失踪宣告を受けた後でさえ…

眞人を諦めることはなかった。

「あの人が死んだ証拠が見つかったわけではないから…」

確かにその通りだ。でも世間でも死んだ人間と同じ扱いを受けるように

なった奴になぜ、ほのかがそこまで執着するのか

俺にはさっぱりわからなかった。