想い人




「たぶん日記変わりに毎日、さくちゃんに手紙書いてたんだと想うの。」


ノートには一冊一冊【咲来へ】と書いてある。


一番新しいと思われる日記にも、【咲来へ】と書いてあった。

その下の日付はちょうど一年前ぐらいだった。


「‥けど、最後のノートは‥」


「読んで。」



私の言葉をさえぎって、はっきりと看護士さんが言った。



「あなたの知らないことが全部書いてある。

最初から、ちゃんと呼んであげて?

あの子が、最後まであなたに言えなかったことが書いてる。」