想い人



手にたくさんのノートを持った看護士さんは、悲しそうな笑みを浮かべて私のそばにきた。


「翔くんのお葬式、今日だっけ?」



「‥はい。」


隣に並んでいるのに、看護士さんの言葉が

現実味をおびていないように聞こえる。

思わずうつむく。どんな顔をして話せばいいのか、まだわからなかった。

そんな私の様子を察したからなのか、看護士さんはいつもよりゆっくり話し始めた。



「さくちゃんにね、話があるのよ」


その言葉に、私は下を向いていた顔をあげて看護士さんの顔をみた。