想い人




病院のドアをくぐると、
看護士さんたちのなんとも言えない視線が突き刺さる。


すっかり顔なじみになった分、感情移入してくれているのか、誰も私に話しかけてこなかった。


 
【204号室  相沢 翔 】


五年間通った病室は、まだ翔くんの名前がかかっていた。



ここまでも、何も変わったことはなかった。


病室のドアを開けると、きちっと畳まれたベッドが目に飛び込んできた。