航助は私の身体全体を包みこむように、しっかりと抱きしめ、しばらく黙ったままでいた。

まるで私には計り知れない、いろんな感情と戦っているみたいに。



過去の恋愛を詮索するつもりなんて、全然なかった。

今までしてきた恋愛が今の航佑を作っているのは確かだから、その中に知りたくないこと、知らない方がいいことがあったとしても仕方がないと思っていた。



でも、実際、彼女が現れてしまった以上、もう避けて通ることはできない。

当たり前のように愛を受け取っていた私に、私の知らない顔をした航佑が、信じられないほど強い嫉妬の念を抱かせる。



航佑を信じている。

なのに、どうしても苦しくなる。

彼女を目の前にしたら、航佑はどんな顔を見せるんだろう..........