「星の動きが人の未来を示唆するなんて、そんなの納得できないわ。運命を否定するわけじゃないけど、人は自分で進む道を選べる生き物だと思うけどな」


透理が正直に言うと、清明は驚いたように目を瞬いた。


「……それは僕も考えたことがある。だけど、殿上人はそうは考えないんだよ」


そう答えた清明が酷く哀しそうで、透理は思わず言った。


「ねぇ、清明?ーー 清明に問題を持ち込む人達に、未来がこうだって教えるより、幾つかの道を示して選ばせるのが、大事なんじゃないの?」


人は容易く楽な道を選ぶ。


誰だって辛いのも苦しいのも嫌だと思う。


現に、今の透理はそんな状況で。


だからこそ、言えることがある。


「誰かに示唆されたことなんて簡単に諦められるし、責任転嫁もできる。だけど自分で選んだなら誰のせいにもできない。自分で責任を負うしかないわ。それに、例え清明が未来を示唆したとして、それはあくまでもその人がどう行動したかの結果であって、それに清明が責任を感じる必要は何処にもないと思うんだけどな?」


見当外れの意見だったかもしれない。


だけど、透理は清明の憂いた表情に、清明が自分の占いに対して、過剰な責任を感じているように思えた。